春眠暁を覚えず。

春だ春だと言ってはいるが、雪は降るし相変わらずの寒空。
しかし植物は春の体制。
先日、枝が邪魔だから大きく枝を切ってくれと頼まれた。
知り合いのおばぁちゃん。
見れば立派な椿。
今にも咲きそうな程大きなつぼみを付けている。
 
オレ「もったいねぇから手ェ入れてやるよ」
 
ばぁ「いや、悪いからいいよぉ」
 
オレ「いいから見てなって。花も咲かせてやるから」
 
何だかんだとばぁちゃんが言い出したので、スルーして剪定を始める。
パチンパチンと剪定をしていると、切り口から樹液が落ちる。
といってもほとんど水。
この時期、植木達は花を咲かせるべく根っこから水を吸い上げている。
こんなところからも、季節は春なんだと気付かされる。
所詮、暦なんてものは人がつくったもの。
そんなものに頼らなくても、植物は季節を知っている。
これから剪定の依頼も増えてくる。
移植をするのもいい時期。
移植の際、素人さんは根っこを大事にするあまり、切らずにそのまま植える方が多い。
しかし大事にするべきは、移植先で即座に水を吸い上げてくれる小根っこの方。
だからある程度太い根っこは切ってしまう。
ハサミで無理に切った根っこは痛んでいたり折れていることが多いので、改めてノコギリで切り口を綺麗にしてやる。
切り口が痛んでいると、そこから根腐れする。
そして大きめの穴に、多めの水。
水が泥を根っこに満遍なくまわしてくれる。
植木に水を与えると同時に泥を回すという一石二鳥の仕事。
根っこの下に空洞があると、やはりそこから根腐れする。
これさえしっかりしていれば、大抵の植木は根付いてくれる。
 
剪定が終わると、ばぁちゃんがお茶を淹れてくれた。
 
ばぁ「若い人はコーヒーのがいいかい?」
 
オレ「いらねぇよ。お茶で十分」
 
ばぁ「それじゃ漬物でも食うかい?」
 
オレ「何もいらねぇから、もーばぁちゃん座ってろよ(笑)」
 
とりあえず、煙草盆だけ頼んだ。
そうでもしないと落ち着きそうもなかったから(笑)
暫くばぁちゃんと話しているうちに、お天道様が縁側を照らしてくれた。
暖かくなってくる。
静かになったと思ったら、ばぁちゃん寝てるし(笑)
居眠りかヨ(笑)
春眠、暁を覚えず。
そんな言葉が似合う現場でした。
 
日々精進。
 
かずあき