人望。

今日は植木の移植でした。
現場は例のヤ○クザの親分さんの組の、幹部さん。
盆栽なんかも沢山あってとても植木が好きな人。
この人は一般の人にも人望のある人。
話をしてて気持ちいいというか、ぶっきらぼうでいて優しいというか。
そんな人柄なので、人に好かれるのも分からなくもない。
しかしこの人、ガンで余命宣告されている。
しかもそう、長くないらしい。
自分でも言っていた。
曰く、
「もう、腹ァ決めたから」
と、笑いながら言っていた。
覚悟した、心は決めたと言うが、果たしてその中の何人が「腹を括る」事ができているだろう。
思えばこの職に就いて、初めて祝儀をもらったのはこの人だった。
「いやよくやってくれた」と、嬉しそうに言いながら。
「ありがとう」と、祝儀を差し出した。
あの時は嬉しくてお礼さえしっかり言えなかった。
若いからといって馬鹿にする事も無く、むしろ職人として接してくれた。
良い人は早く逝ってしまう。
と、どこかの年寄りが言っていたのを思い出した。
あまり長生きはしたくないなぁ(笑)
娘に残したいと、娘さんがこれから始める美容室に、植木を植えるらしい。
「お願いします」と頭を下げられてしまった。
絶対に枯らさない。
見れば花の咲くものが多い。
絶対に咲かせます。
言えなかった。
でも、絶対良い植木に仕立てます。
そして盆栽をいじりながらその人は言っていた。
「こいつらは俺たちの何倍も生きている。
 こんなに小さな場所に何十年何百年といるんだから、たいしたもんだ」
とても優しい顔でした。
親父は何かと喋っていたが、自分は何を話していいか分からなかった。
仕事で返そうと思った。
もし、その人がいなくなっても、この植木と最後まで付き合おう。
やらせてもらえる限り。
と、「腹を括った日」でした。
今日はちょっとしんみり(笑)
 
日々精進。
 
かずあき