おばぁにありがとう。

ちなみにじぃちゃんはこんな人。
今回はおばぁの話。
 
小さい頃、両親と居るよりじぃばぁと一緒に居る事が多かった。
親父は仕事に忙しく、母親は居酒屋を経営していたため、よくじぃばぁに預けられていたみたい。
じぃちゃんは自分が小さい頃に亡くなってしまったので、おばぁと居る時間の方が長かった。
思えば、我侭な子供だった。
年寄りのつくる料理は、子供の自分はあまり好きではなく、よく駄々をこねた。
あそこに連れて行け、ここに行きたいと、年寄りでは無理なところに遊びに行きたいと困らせた事もあった。
中学の頃は話をした事さえよく覚えていない。
それは高校に行っていた時もかわらず、ちょっとした頼まれ事でさえ、断ってしまっていた。
ほんの些細な事で、戸棚の上にあるものに届かないので取ってくれとか、郵便局に使いに行ってくれとか・・・。
そんな事なのに、手を貸してやらなかった。
今思えば、それでもおばぁはいつも優しかった。
 
そんなある日、おばぁが話し掛けてきた。
おばぁはオレが何を食べたいかを聞いているだけなのに、それに答えるのが面倒くさくて適当に答えた。
おばぁがつくるものの中で、一番おいしかった大好物の『おはぎ』
特に食べたかった訳でもないのに。
するとおばぁは脚が悪いのにもかかわらず、近くの店に餡子を買いに行ってくれた。
その時に、自分がとても厭になった。
その時のおはぎの味は、今でも忘れない。
とてもおいしかった。
 
大切にしなければと思っても、なかなか孝行できず。
というより、そもそも何をやったらいいのかさえよく分からなかった。
恐かったのかもしれない。
何が恐いのかと聞かれてもわからなかった。
今思えば、いくらか成長したであろう自分がどうやって年寄りと接したらいいのか分からなかったんだと思う。
そんな事を考えているうちに、家出してしまったし(笑)
 
結局、初めておばぁに孝行できたのは、病院への送り迎えだった。
成人して何年か経っていた頃。
まったく、恥ずかしい話です。
ちゃんと給料をもらえるようになってから、初めておばぁにお小遣いをあげた事もあった。
何か買えよ。
そういって渡すと、おばぁは困ったように断った。
歳をとると、お金はあまり必要なくなると。
お前が大切に使えと。
今度はオレが困った。
そういわれると、どうやったら受け取ってもらえるものか・・・。
そこでひらめいた(笑)
幸い、おばぁの子は8人もいる。
そう、親父は8人兄弟。
そうなると、おばぁの孫も自分を含め相当な人数になる。
従兄弟たちですね。
自分よりもずっと年下の従兄弟もいる。
孫の小遣いにでも使ってよ。
自分も孫のくせによく言えたもんだと、今は思う(笑)
そう言うと、おばぁは「ありがとう」と言って受け取ってくれた。
とても、嬉しそうだったのを、よく覚えている。
なんだ、簡単なんだ。
これでいいのか。
どうしてこんなに簡単なことが出来なかったんだと、思った。
ちょっとした、気遣いだけでいいんだ。
自分にできる範囲で、何かをやってあげればいいだ。
その、気遣いが年寄りは嬉しいんだと気がついた。
こんなことならもっとはやくやってあげればよかったと、思った。
 
なかなか出来ない気持ちもわかるし、やってみれば簡単なんだと思う。
 
そんな優しかったおばぁが亡くなって、早いものでもう4年が経つ。
そして今でも思う。
もっと孝行してやればよかった。
散々悪さもしてきた今年で28になる男の、独り言(笑)
少しは落ち着いて、反省なんてものもできるようになった。
大好きだったおばぁへ、ありがとう。
オレの大好物は、今でもおばぁのおはぎ(笑)
 
日々精進。
 
かずあき