植木屋になった訳

なんで植木屋を選んだのか。
理由は簡単です。就職活動が面倒くさかったから。
やれ論文だやれ面接だと同級生が汗水流していた頃、何もしませんでした。
高校生の頃です。
その時もこの職業は腰掛けだと女の子みたいなことを思ってたりもしていました。
事実、18歳で親父と始まった頃は毎日のように親父と喧嘩。
いけませんね。だめです。
しかし当時若かったせいか親父の言うことなんかひとつも聞きませんでした。
いけませんね。
そして3年目の冬のある日。その日も二人で現場に向かっていました。
些細なことでいつものように喧嘩。
違ったのはお互いのテンションだけ。
仕事を始めた途端に言い合いに。
お互い短気で頑固者。厄介なところが似たもんです。
譲ることを知らなかったおれはトコトンやってやる、くらいの勢いで親父をマクシタテました。
しかししかし、飛んできたのは罵声でなくスコップ。
親父も頭にキタんでしょうね(>_<)
バイオレンス。
危ない親子だと思うでしょうが、結構職人世界ではものが飛んできたりゲンコツが振り下ろされたりします。
「出て行く!!」そう思ってからは行動が早かったですね。
その日の現場は自宅からかなり遠い。親父を置いて乗ってきた車で帰ってきてしまいました。
その後親父がどうやって帰って来たのかは、未だに知りません(笑)
そして自宅で自分の車に乗り換え有り金もって家出をしました(笑)
いけませんね。家出です。今思うとかなりウケます。
といっても行くアテもなく友人の家に入り浸っていました。
もちろん何もしていません。
有り金もすぐに底をつきました。貧乏ですね。
何度か植木の会社に面接にも行ったが資格もないガキをまともに相手にしてくれる訳がない。
いよいよマズい。
友人に世話になりっぱなしであっという間に3ヶ月が過ぎようとしたころ、今年の3月まで世話になった会社の社長に拾ってもらった訳です。
ありがたいですね。
気が付けば5年半勤めました。
会社に入ってすぐ現場に出され、それでもすぐに仕事ができたのは親父と一緒にやってきた2年間が大きかったと今でも思います。
少しだけとはいえ自分でも知らない間に仕事を覚えていたんでしょうね。
職人仕事は盗むもの。盗んだ覚えは全くありません。
教えてもらっていたと言った方が正しいかもしれません。
今ではあの頃が嘘のように仲良くやっています。
嘘です。
やはり喧嘩はします。
が、あの頃とは違いお互いにいくらかでも成長したのでしょうか。
同じ喧嘩でもどこか違うような感じがします。
良い方向に向かう喧嘩なんでしょうね。そんなのあるのか!?
兎にも角にも、面白さを知りそれなりに仕事ができるようになるまでに9年費やしました。
始まりはどうあれ、今ではこの職業を選んでよかったと思います。
これほど面白くやりがいがあり、自分に向いている職業は他にないのではないでしょうか。
日々精進。
職人は満足したらそこまで。一生勉強です。
10年目を迎えると同時に独立して早半年。
駆け出しのガキがどこまでやれるか、自分でも見物です。
親兄弟友人その他。全てに感謝。
明日も雨だそうです。
また趣味の時間ができそうです。
シルバーの注文を受けているので、次のアクセに全力を尽くします。
コッチはまだ始めて2年程。石留め練習中。
日々精進。
頑張ります。
かずあき